令和5年度第2回 第61回気象予報士試験 実技2 問3

気象予報士試験の過去問とその模範解答は一般社団法人気象業務支援センターにて過去5年分(10回分)が公開されています(http://www.jmbsc.or.jp/jp/examination/examination-7.html

問題文や図、模範解答などはそちらから入手してください。図や問題文等の引用は気象業務支援センター様にご了承いただき掲載しています。

また、模範解答以外の考察等の内容は全て私見です。気象業務支援センターの見解ではありませんのでご注意ください。

①などはPC上の表記の関係で[1]と記載しています。

問2はこちら

問3(1)

点D 特徴:傾度の大きい範囲の南端 安定性:安定

点E 特徴:極大 安定性:対流不安定

点F 特徴:極小(傾度の大きい範囲の南端) 安定性:対流不安定

点Dはすぐ北側に等相当温位線の集中帯(オレンジ色のライン)があるため、「傾度の大きい範囲の南端」になり、点Dの相当温位はちょうど348Kくらいです。

点Eは黄緑色で囲った相当温位域で、降水量が大きな場所と重なるので高相当温位域と思われるため「極大」で相当温位は351K〜354Kの間です。

点Fは試験本番ではあまり確信を持てませんでした。確かに青のラインを見ると傾度の大きい範囲の南端と言えるような気がします。実際はこの青く囲まれたところは低相当温位域ということみたいですが、降水がないこと以外に判断するポイントはあるのでしょうか・・・残念ながら私の知識では分かりませんでした。ただ950hPaは点Fにちょうど[C]の記載があり、低相当温位域であることが分かります。なので解答は「極小」にしました(合っててよかった)。相当温位は342Kくらいでしょうか。

そして図11の950hPaの相当温位を確認してみると

D:342K E:354K〜357Kの間 F:351K となるため、850hPaの相当温位と比較し、

D:950hPa<850hPa E:950hPa>850hPa F:950hPa>850hPa

一般知識の範囲から、簡潔に言えば対流不安定とは上層ほど相当温位が低い状態、安定は上層ほど相当温位が高い状態、ほぼ中立は相当温位が同じと考えることができますので、Dは安定、EとFは対流不安定となります。

2つの図を見比べっこして考えるから机の上がごちゃごちゃして大変だ〜。

(2)強雨域の南側は50ノットの南西(南南西)風、北側は相対的に弱い南西(南南西)風で、その間に収束がみられる。

これは何を答えれば良いか分かりませんでした。「強雨域の南から50ノットの強い南西風が吹いている。」(25字)ととりあえず書きましたが、全然文字数が足りません(汗)

強雨域について問われているので収束なり、シアーラインなりを答えるのでしょうが、風向は南北でほとんど一致していて違うだろうし、何よりぼくには風速の50ノットと35〜40ノットの違いを相対的に弱い風と書くことができませんでした。だって40ノットだってまぁまぁ強い風ですよ??(グチですみません)

過去問解いてると時々グチを言いたくなる問題もあるよね。

それは自分が少しずつ理解できるようになってきたからかな?ってポジティブに考えましょう!まぁ大体は自分の知識不足のせいなんですが(笑)

(3)[1]33

問題文の最後の「鉛直方向の 1hPa の差は 10m に相当する ものとする」←これ使いますか??

受験生を惑わすためでしょうか?それともちゃんとどこかで使うはずだったんでしょうか。

850hPaで大体北緯34.1°くらい、950hPaで33.4°くらい、なので1000hPaだと33°くらいかなぁ。で解答しました。解答の指示が0.1°刻みだったらもっと大変な問題になりますね。

[2]強雨域は、950Paの集中帯の南端付近に位置する。

トレーシングペーパーを使ってもいいんですが、ちょうど黄色く示された20mm以上の強雨域が長崎の平戸市あたりにあるので、それを目安にするとちょうど950hPaの集中帯の南端に位置します。ちなみに、問題文の指示通り「等相当温位線の」は省略してください。

いちいちこんな細かい指示を入れて、この問題の出題者は意地悪だなぁ〜。

(4)

(4)は上の図の[1]は青字と①、[2]は緑字と②、[3]は赤字と③を参考にしてください。

[1]最大値:108 時刻:15

確実に取りたい問題です。前3時間降水量の最大値(1mm刻み)ですので注意しましょう。

[2]大雨の前は南南西の風が強まったが、その後風向が時計回りに変化し西になり弱まった。

これもよく出る問題なので定型分として解答例を覚えましょう。

[3]気温、露点温度ともに下降した。

図を見たままに答えます。

[4]南下する前線の通過

問題文より、「簡潔に答えよ」とあり、例年この場合は本当に簡潔なことが多いので私は「前線が通過した」と書いたんですが、南下もキーワードですか・・・。

この手の問題って字数指定もないからいつも悩むわ。

通常ならそこまで字数を気にする必要はないんだけど、今回の「南下」は必須だろうなぁ〜。

(5)[1]高[2]非静[3]帯状(線状)

これは専門知識の範囲の問題ですね。解けなかった場合は専門知識の局地予報を復習しましょう。

意外とメソモデルや局地モデルの問題では専門知識の問題が出題されるんだよね。

[4]南[5]南西(西南西)[6]収束(域)[7]高

(4)までの問題で各図をしっかり見ていたら必要な情報はすぐ見つけられると思います。裏技ですがどうしても時間がなかったらとりあえず風→収束、相当温位→高相当温位、でこの問題に限らず結構取れますよ・・・。

問3もスッとは解けない問題が多いですね。全体的に難易度がやや高い分、(4)や(5)といった解きやすい問題は完璧にしたいです。ただこの問題が実技2の最後にあるので、それまでで時間を使って解く時間がないと最悪です。

総評

実技2は全体的に実技1より難しい印象です。問1から比較的高難易度な問題が多く、途中もあまり簡単な問題はなく、そして問3の最後に解きやすい問題があるので問3の最後まで解けたかどうかが合否に大きく影響を及ぼしそうです。ただそうは言ってもわずか5%台の気象予報士試験に合格するためには問1(1)のような語句問題やエマグラムなど覚えればできる問題は完璧にし、それ以外で時間を使って平均以上の得点を取るといったハイレベルが求められるでしょう。

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