今回は効率的に最短で合格を目指す方に向けて気象予報士試験の実技試験のコツを5つまとめてみました。
気象予報士試験の最後にして最大の壁である実技試験のコツを紹介してみます。
実技試験は気象予報士試験特有の完全記述式の試験であり、その難易度は極めて高く、多くの受験者を悩ませてきました。
一応、完全独学で2回の受験で合格できた私なりのコツや対策を5つお伝えしたいと思います。
・模範解答のよくある定型分は暗記する
・問1(1)の語句穴埋め問題は満点を目指す
・問1の後に問3や問4の局地予報などを先に解く
・過去問1周目は自分なりに理解しながら、2周目以降は時間と実際の環境を意識しながら解く
・80点を目指し、問題の取捨選択を明確にする
まず、今回の注意点として、あくまでも私自身は気象に関する強い興味があるというわけではなく、趣味の資格集めの1つとして気象予報士試験を受けました。
したがって、目標となるのは気象予報士試験の合格であり、効率的に合格するためのコツであることをご了承ください。
気象の専門家を目指す方や純粋に知識を深めたい人にとっては適切ではないかもしれないので念の為・・・
合格だけを目標にすると、どうしても純粋に知識を得たい人からすると合わないよね。
それでは詳しくお伝えしていきます。
これは最短で合格するために気象予報士試験の実技対策として核心となるコツだと思っています。
何を言っているかというと、次の模範解答をみてください。
風向が南から南南西に変化し、気温が1℃上昇した。
令和3年度第2回(第57回)気象予報士試験実技2問3(1)①
風向が南南西から西北西に変化し、海面気圧が急上昇し、気温が急降下したため。
令和4年度第1回(第58回)気象予報士試験実技2問4(1)
風が南南東から西に時計回りに変化し、気温が急下降したため。
令和3年度第1回(第56回)気象予報士試験実技1問4(5)②
これは時系列図から前線の通過時間とそう判断した理由を解答させる問題の模範解答です。
また、次の2つはシアーラインの両側での違いを解答させる問題の模範解答です。
シアーラインの南東側は南西の風で相対的に強く、北西側は北寄りの風で相対的に弱い。
令和3年度第2回(第57回)気象予報士試験実技2問3(1)①
シアーラインの西側は風が弱く相対的に低温であり、東側は南よりの風で相対的に高温である。
令和2年度第2回(第55回)気象予報士試験実技1問2(4)②
これをみてみると、問題文の指示や解答の文字数に応じて多少の違いはありますが、非常に似た言い回しの模範解答が頻出していることがわかります。
これ以外にも色々な問題で似たような解答文が使われていることがあるよ。
しかも引用した年度をみてもらえばわかる通り、非常に短期間で何度も使い回されていることがわかります。
実技試験では、過去の実際の天気図等を使用して出題されますので、同じ問題が出ることはありませんが、似たような問題は出ることがあります。
そのような問題への対策として例えば前線の通過時刻を解答する問題では「風向が○○から××に変化し、海面気圧が△△し、気温が□□したため。」と解答文を構成し、シアーラインの問題では「シアーラインの○○側は××の風で相対的に強く、△△側は□□の風で相対的に弱い。」と解答文を構成します。
これの利点は大きく次の2点が考えられます。
・解答文が模範解答に近づき、得点力が上がる
・解答時間の短縮につながる
まず、模範解答の定型分を覚えることで、解答の精度が上がります。私は採点者ではありませんので、確実なことは言えませんが、筆記試験ですので採点にはある程度の幅を持っていると思われます。しかし模範解答により近い文章構成の方が採点者にとっても、安心して正解にすることができますし、高得点が狙えることはほぼ確実でしょう。
また、解答文を考える際に、定型文を覚えておけば、実質的には穴埋め問題に変わります。
例えば先ほどのシアーラインの両側を比較する問題であれば「シアーラインの○○側は××の風で相対的に強く、△△側は□□の風で相対的に弱い。」と定型分が頭に浮かべば、あとは風向や気温など問題文や解答欄の文字数に合わせて調節するだけです。
すると確認すべき内容は明確になりますので、図から情報を読み取って当てはめていくだけとなります。
実技試験はとにかく時間が足りません。このような問題では考える時間を極力なくし他の問題に当てる時間を確保することで、さらに得点力の向上が見込まれます。
実技の過去問を解いていくとこれ以外にもさまざまな問題で似たような解答文が出てきます。過去問を解きながら、「これみたことあるな。」という問題に出会ったら、解答文の構成を覚えてしまうと良いでしょう。
問1(1)はほとんどの過去問で語句の穴埋め問題が出題されます。これは9割ではなく、必ず満点を目指してください。
したがって、天気記号や海上警報、雲形、気象用語の定義など、覚えるべき項目はめんどくさいですが全て暗記します。
この問題は配点1点で、1問程度ミスしたところで大きな影響はないかもしれませんが、厳しいようですが、ここで満点が取れないようでは合格はかなり難しいでしょう。というのも、ここで出題されるような知識は覚えるだけの基礎的なものがほとんどですが、これらの知識が結果的に問1以降の問題でも必要であることが多いためです。
また、ここは知っているだけで解けるということからも、勉強の成果が直接得点に反映されるため、ここを落とすのはもったいないです。しんどいですが覚えるべき項目は明確ですのでぜひとも完璧にしましょう。
勉強方法としては、過去問が気象業務センターで10回分、計20題の実技試験がアップされており、その他にも有志の方がさらに古い過去問を提供されています。問1(1)程度であれば10分もかからず解けると思いますので、古いものも含めて数おおくこなし、少なくとも過去問ではわからない問題は全くない状況にしておきましょう。
これは万人にオススメできる方法ではありませんが、初めての受験で時間配分をミスって最後まで解けず後悔した私は、2回目の受験でこの方法を使って致命的なダメージを避けることができました。
出題回数にもよりますが、多くの場合、問1は語句穴埋め問題や比較的解きやすい問題が多く、問2以降で解析図や予想図を読み取る難易度の高い問題が出題されます。そして、最後に局地予報など比較的解きやすい問題が出題される傾向にあります。
そこで、問1を解いた後に、解析図や予想図を用いた問題を飛ばし、いったん最後の時系列図や局地予報などの問題に目を通します。ここで解きやすそうな問題であればや先に解いてしまいます。最後に飛ばした難問に残りの時間を使って答えていきます。
しかし、1つ難しい点として、この局地予報の問題自体は、それまでの問題で出題された全球予想の結果の流れで出題されているため、それまでの解答がヒントとなっていることもあります。
ですので、ここまで思い切った対策を取るのが心配な場合は、とにかく詰まった問題は深く考えず先に飛ばして最後の問題まで解答することを最優先してください。
これだけでもかなり時間切れによる失点を防げるでしょう。特に時間があれば解けたはずの問題を取りこぼす確率が格段に減ります。
実技試験は制限時間に対し問題数や解答の記述量が多く、ほぼ全ての人が時間との戦いと感じており、実際に私も強くそう思います。
そして記述式であるためかけようと思えばいくらでも時間を消費してしまいます。
しかし気象予報士試験というのは残念ながら時間無制限で高得点を目指す試験ではなく、非常に短い限られた時間内で70%の合格点までもっていく試験です。
ここが気象について真剣に取り組んでいる人ほどハマってしまう罠なのです。
とにかく気象予報士試験の合格を目指すのであれば、時間内で解答するために、時間を使えば答えられそうな問題でも躊躇なく捨てる意志が必要です。
例えば前線を描く問題は、通常は多くのデータを読み取って解答します。ですが制限時間内に解答しようとした場合、まずは等相当温位線、等温線、等圧線程度でサッと解答を描いてしまい、最後に時間があればその他のデータ(降水や渦度、上昇流、風向など…)を確認しながらより正確に解答します。
トラフの位置の解析では、正の渦度領域で、渦度の極大点を参考に、等高度線の谷を見つけてラインを引きます。1分考えてよくわからなければ、12時間あたり傾度10〜15度分くらい東に移動させてそれっぽいところに引いてしまいます。
正直これでは理由を持って解答していないため、正しい知識とは言えません。しかしひとまず合格することが目標である人にとってはこの割り切りは非常に大切です。
そしてこういった解答の能力は制限時間を決めて解くことによって鍛えられ、精度も上がっていきます。
そのため、過去問や練習問題を解く際は、特に2周目以降は時間を測定して、75分以内に解答します。
こうすることで初めて限られた時間内に合格点を目指すための能力が身につくのです。可能であれば問題・解答用紙やトレーシングペーパー、筆記用具なども本番に合わせておくとなお良しです。
やってみるとわかるけど、普段から制限時間を測って問題を解くのって、ものすごく集中力や体力が必要で本当に辛いんだよねぇ・・・。
1回ぶん解くだけで疲労感がすごい出るよね。
1つ前のコツとも関連するのですが、合格するために必要なことは合格点を取ることであって、満点を取ることではありません。
この考え方はもちろん試験本番でも大切ですが、普段の勉強姿勢においても大切です。
試験本番については1つ前と同じですので、ここでは普段の勉強姿勢についてお伝えします。
まず気象予報士試験は記述式です。つまり解答が模範解答と全く一緒となることは基本的にありません。
さらにこの気象業務センターが公表している公式の模範解答は、解答文のみでその理由は一切示されません。
加えて、受験者に通知されるのは合否結果のみで、全体の点数も個別の問題の部分点なども一切公表されません。
他の試験なら結果通知書に得点が書いてあったり、
開示請求すれば自分の得点を見ることができることが多いね。
気象業務センター以外は、受験対策講座の先生や気象の専門家や私のような趣味で書いている人の解説や採点はこれまでの経験などからそれらしい解説や採点を行っているだけであり、実際の解答と一致するとは限りません。
つまり、結局のところ自分でどれだけ調べたり勉強しても、完璧な解答や解説は得られないわけで、それならばどうしてもわからない問題は程々に、得点力の向上が見込める問題に時間を割くべきです。
したがって、時には普段の勉強でも、どうしてもわからない問題はあきらめてわからないままにしておく、というのもこの試験においては大切なことだと思いました。実際の考え方としては、80点を目指し、残りの20点に該当しそうな難問は深く考えず、答えを覚える程度にしておいてはいかがでしょうか。
もちろん捨て問ばかりじゃ合格できないからね!
あくまでもある程度考えたり調べてもわからない問題のことだよ。
まとめ
以上、気象予報士試験の実技対策のコツ5選でした。
ポイントはとにかく時間対策に限ります。素早くできるだけ正確に解答するために、色々な方法を考えてみました。もしこれ以外にも、なにかおすすめのコツなどがあればぜひコメント欄で教えてください。