気象予報士試験の過去問とその模範解答は一般社団法人気象業務支援センターにて過去5年分(10回分)が公開されています(http://www.jmbsc.or.jp/jp/examination/examination-7.html)
問題文や図、模範解答などはそちらから入手してください。図や問題文等の引用は気象業務支援センター様にご了承いただき掲載しています。
また、模範解答以外の考察等の内容は全て私見です。気象業務支援センターの見解ではありませんのでご注意ください。
①などはPC上の表記の関係で[1]と記載しています。
問1はこちら
問2(1)[1] 12時間後:東経 126 (125, 127)°、24時間後:東経 137 (136, 138)°
この問題私は毎回できませんでした。12時間後のトラフの位置をいつも紫色の位置に描いてしまいます。というのもいつも正渦度極大を参考にトラフを描いてしまうためです。正解は水色で描いたトラフだと思われます。模範解答を見てから確認すると図2で示されたトラフからの移動距離を考えると妥当な位置にあります。
[2]45(40)ノットこういう問題ではトラフは線状ですが、大体[1]で解答した5280mの等高度線との交点の移動距離から求めるとうまくいくことが多いです。私の縮尺で計算すると以下の通りとなりました。
600海里/28.5mm×48mm/24時間=42.1≒40ノット
[3]閉塞過程にある低気圧:日本海中部の低気圧、速さ:15ノットこれも難しいですね。中国東北区の低気圧は、12時間後には強風帯のずっと北側にありますので、発達せず消滅となりそうです。また、対馬海峡付近の低気圧はトラフから距離があり、強風帯の南側に離れてもいるためあまり発達もしなさそうです。
したがって、最も強風帯と関わりが深く、発達が予想され、24時間後に強風帯の北側に移動し閉塞となるのは日本海中部の低気圧となります。
600海里/28.5mm×18mm/24時間=15.7≒15ノット
(2)[1]点A:+1.3(+1.1,+1.2,+1.4,+1.5)℃/h、点B:-0.9(-0.7,-0.8,-1.0,-1.1)℃/h
急に一般知識の問題が出てきた!突然だとびっくりするね。
点Aは暖気移流、点Bは寒気移流となっています。風記号にの羽の方向に沿って等温線の幅から等温線の間隔の距離を測ります。等温線は3℃ごとですので、距離を3で割ると温度傾度1℃あたりの距離がわかります。風速はわかっているため、風速を傾度1℃あたりの距離で割ると解答にたどりつけます。
点Aと点Bで基準となる緯度10°の長さが異なることに注意しよう。
点Aの等温線の間隔は4mmでしたので
600海里/26mm×4mm/+3℃=30.8海里/℃
風速が40ノットですので、40海里/h÷30.8海里/℃=1.30℃/h≒1.3℃/h
暖気移流ですので符号の「+」をつけて+1.3℃/hとなります。
点Bでも同様に
600海里/31mm×4mm/-3℃=25.8海里/-1℃、25海里/h÷25.8海里/-1℃=-0.97℃/h≒-1.0℃/h
模範解答はだいぶ緩く設定されているみたいなので、読み取りの多少の誤差は問題ないようです。
[2]点A近傍の上降流の最大値:-45Pa/h、点B近傍の下降流の最大値:+18hPa/h半径300海里ということは直径600海里なのでコンパスで緯度10°の長さを直径とした円(赤い円)を描きます。点Aではギリギリ-45hPa/hを含みそうです。
(3)模範解答図をご確認ください
今回は図9(下)の等温線と上昇流域をメインに考えるとわかりやすそうです。
まず北海道南海上の低気圧の寒冷前線は比較的等温線が集中しているため、この集中帯の南端付近を目安に前線を描きます。また問1(1)[9]を参考に、9℃の等温線に注目します。途中、等温線の尾根に合わせてキンクも表現しましょう。
一方、温暖全線はこのまま描くと問題文の指示のように枠まで行かなくなってしまうので、6℃の等温線に合わせました。
続いてもう一つの南側の低気圧の寒冷前線も問1(1)[10]を参考に12℃の等温線を参考に記載します。温暖前線は12℃の等温線を参考にすると黄色い線になりますが、これでは上昇流域と一致しませんので、これも9℃の等温線に合わせてみました。
いずれも850hPaの高度の前線となるため、解答では南に0.5°分くらいずらして描くと良いでしょう。
問2も私にはかなり難しく感じましたね。特に最初のトラフの位置を間違えるとその後の問題ももれなく間違えとなってしまうため、おそらくこの回では合格できなかったと思います。
問3↓