令和5年度第1回 第60回気象予報士試験 実技1 問4

気象予報士試験の過去問とその模範解答は一般社団法人気象業務支援センターにて過去5年分(10回分)が公開されています(http://www.jmbsc.or.jp/jp/examination/examination-7.html

問題文や図、模範解答などはそちらから入手してください。図や問題文等の引用は気象業務支援センター様にご了承いただき掲載しています。

また、模範解答以外の考察等の内容は全て私見です。気象業務支援センターの見解ではありませんのでご注意ください。

①などはPC上の表記の関係で[1]と記載しています。

問3はこちら

問4

(1)[1]気温分布の特徴:シアーラインの北西側は相対的に高温、南東側は低温である。

エコー分布の特徴:シアーラインに沿って降水強度5mm/h以上のエコーが分布している。

太破線のシアーラインの北部では気温の変化量は少なめですが、南部では-0.3℃と-3.1℃と十分に大きな差となっていますので、素直に見たまま解答したら良いのではないでしょうか。シアーラインの前後を比較する問題は頻出問題ですので、「シアーラインの[方角]側で[〇〇]、[反対の方角]側で相対的に[△△]となっている。」と解答文ごと覚えてしまうと簡単です。

ちなみにぼくは、問題文の「この記入されたシアーラインを挟んだ気温分布」となってたから、シアーラインが北東〜南西に伸びているのはわかっていたんだけど、この破線部分だけに注目して「シアーラインの西側は高温、東側は相対的に低温である。」と解答したんだけど流石に大丈夫ですよね?(笑)

また、エコーは下の重ね合わせた図の通り降水強度5mm/h以上の薄黄緑色と対応しており、これをそのまま書きます。

図10と図11を重ねたもの
[2]模範解答図をご確認ください。

これも上の問題の図10と図11を重ね合わせたものを基準にシアーラインを描きます。太破線の南西側は降水エコーの分布を参考に描きつつ、風記号が混んでいる部分はシアーラインの北西は北西の風、南東は南の風となるように描きます。逆に太破線の北東側は内陸部の観測地がないため、降水強度5mm/h以上の薄緑色のラインに従って描きます。

(2)[1] 3

「通過した時刻」とは、図において通過したと判断される最初の時刻、とあるため風向が北西から南南西に変化した3時となります。

[2]ウ 理由:風向が北西から南よりに変化し、気温が下降、降雪が強まった後も、風は南よりで気温が低く、強めの降雪が続いた。

(1)の解答や風向から、シアーラインの北西側で北西の風で高温、南東側で南の風や静穏で相対的に低温となっています。高田では最初北西の風で高温であることからシアーラインの北西側、その後気温が下がって南寄りの風になることからシアーラインの南東側となることがわかりますから、シアーラインは時間と共に北上することがわかります。従って解答は「ウ」か「エ」の2択になるのですが、シアーライン通過後も9時までずっと降水量は3mm/h以上となっており、シアーライン付近で降水強度の大きな部分と対応していることを考慮すると、シアーラインの通過後もしばらく停滞していると予想されるため「ウ」が解答となります。

ウと解答できるのであれば理由もおおよそ書けると思ったんですが、本番では私は文字数が全然足りず何が不足しているか全然わかりませんでした。ちなみに私の解答は頑張って「風向が西~北西から南よりに変化し弱まり、気温も下降し、その後も9時まで降水量が多い時間が続いていたため。」(48字)まで書いたんですが、何点ぐらいもらえたんでしょうね・・・。これだけ文字数が多いと完全一致は不可能でしょうし。

文字数の多い問題は自己採点も大変だね。

採点結果の開示もできないから結局はっきりしないんだよね。気象予報士試験対策のスクールなんかはこれまでのたくさんの受験生の自己採点と合否結果から採点の傾向なんかのノウハウがあるみたいだから、どうしても実技が合格できない人はスクールを受講するのもありかもしれないね。

[3]0.8

雪水比は指示通り求めるだけです。ただ単純な問題だけにこれまでの問題で時間を使いすぎていると非常に後悔します(当時の自分)

前6時間なので4時から9時までの各降雪量、降水量を合計して割ると、(2+2.5+4.5+2+4+2)/(3+3+4.5+3.5+4+3)=17/21=0.81≒0.8 となります。

はい!ぼくはここで時間が足りず計算ミスしました!!

自信満々に言うな〜!

(3)[1]

6時〜9時9時〜12時12時〜15時15時〜18時18時〜21時
3時間降水量(mm)20301010
3時間降雪量(cm)10162488

これも指示通り確認し解答するだけです。降雪量も求めた降水量から先ほどの雪水比の0.8をかけるだけです。

本当に最後の最後にこの時間は使うけど簡単な問題を出してくる出題者が憎い!!

[2]昼過ぎ

大雪警報は6時間降雪量が30cm以上となった時ですので、9時から12時で26cm(10+16)、12時〜15時で50cm(10+16+24)となるため、12時から15時の時間帯を示す用語で解答します。時間帯を示す用語も近年しばしば出ていますので覚える必要があります。

これはぼくが隙間時間用にタブレットでまとめたノートだよ。持ち運びも簡単で紙より便利!

問4は問1〜3の難易度と比較して解答しやすい問題が多かったです。特に雪水比や降水・降雪量の問題は必ず得点したいです。ただし単純計算ですが計算量も多く難易度の割に解答に時間を要するのでそれまでの時間配分が非常に重要だと思いました。

総評

この問題が気象予報士試験の初受験の回で、初めての実技試験でした。過去7年分くらいの過去問を1周半くらい解いて初めての本番に挑みましたが、全体的には類似の問題をみたことがあるようなものもあり、特別に難易度が高いとは思いませんでした。ただし、時間が全く足りず、絶対得点したい問4までに十分な時間を残せませんでした。この回の実技試験は不合格でしたが、その1番の要因だと思います。例年最後の問は解きやすい傾向にあるので、「問1の後に問4を解いてしまう」というのも一つの手なのですが、一応問4も全体の気象条件の前提があっての問題になるので難しいところですね。

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第60回 実技2はこちら

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