令和5年度第1回 第60回気象予報士試験 実技2 問2

気象予報士試験の過去問とその模範解答は一般社団法人気象業務支援センターにて過去5年分(10回分)が公開されています(http://www.jmbsc.or.jp/jp/examination/examination-7.html

問題文や図、模範解答などはそちらから入手してください。図や問題文等の引用は気象業務支援センター様にご了承いただき掲載しています。

また、模範解答以外の考察等の内容は全て私見です。気象業務支援センターの見解ではありませんのでご注意ください。

①などはPC上の表記の関係で[1]と記載しています。

問1はこちら

問2

(1)[1][a] 0hPa

12時間後996hPa→36時間後996hPaで変化ありませんので0hPaとなります。36時間後はLのすぐそばにある等圧線を見逃さないように注意しましょう。

[b]台風中心からみて南西側では乾燥域が広がり、北東側は全体が湿潤域となる。

台風に関する実技試験ではよく台風の温帯低気圧化に伴う変化を答えさせる問題が出題されます。

下の図の通り、台風中心に向かって乾燥した空気が西から回り込んできます。乾湿について解答する必要があるため、湿潤域についても書く必要がありますが、こちらは少し掴みどころがないですね。ただ南南西に広がる湿潤域に変化はあまりみられないため、北東側の大きな湿潤域と繋がることを書けば良いと思われます。

[c]楕円形から円に近い形に変化している。

高相当温位域はむしろ不明瞭な円形から綺麗な円形に変化しています。必ずしも全てが横長に変化していくというわけでもないみたいです。基本的には資料から読み取れる情報を最優先に解答し、分からないときは持っている知識を活用し解答を推測すると得点率が上がるような気がします。

[2][d]南東(東)

図7の(上)と(下)を重ねたもの

トレーシングペーパーを使用し中心の位置を重ねると微妙に位置が異なります。緯度で1°分くらいは離れていますので、100km程度は距離がありそうです。方角は東南東あたりですが、8方位で解答するので東か南東です。

[e]ほぼ同じ

図7(下)と図8(下)を重ねたもの

同様に相当温位の予想図でも極大と台風中心の位置を重ねると、こちらはほとんど同じ位置になります。

[f]中心(のわずかに南西)付近に極大があり、そこからの温度傾度はゆるやかである。


図7(下)と図8(上)を重ねたもの

台風中心からだいたい200kmくらいの範囲を赤丸で示しています。緯度1°が110kmなので、だいたい2°くらいでコンパスで円を描くといいのですが、この問題の場合ははフリーハンドでもいいでしょう。高温の極値は台風中心のやや南西にあり、円の中に等温線はありませんのでほとんど温度傾度はないと言えます。

(2) b

[a]気圧の変化は温帯低気圧化と関係ありません。[b]は典型的な温帯低気圧化時の変化です。[c]むしろ円形の対照構造に近づいており、温帯低気圧化とは言えません。[e]中心の位置が一致しており、鉛直構造に傾きはみられませんので温帯低気圧化とは言えません。[f]温帯低気圧化が進むと水平の温度傾度が大きくなりますが、ほとんど温度傾度がみられないため該当しません。

よって[b]のみとなります。

問題数も多くていろんな図を行ったり来たりするから問題用紙が散らばらないようにしなきゃ。

ちなみに[d]は問題の選択肢に入っていませんので注意しよう。

(3)[1]メソモデルでは、台風中心の東側に、強い降水域が南北方向に帯状にのびている。

図5と図9の台風中心から半径200km程度の範囲を赤丸で囲いました。また全球モデルでの降水量の+80以上の線を青くしました。模範解答をみると台風中心の東側の強い降水域について言及しています。確かに全球モデルでは東西に伸びた楕円状をした降水域がメソモデルでは南北にのびていますね。しかし、中心の西側の全球モデルでは捕捉できていない150mm以上の降水域については言及しなくていいんですかね・・・。こちらの方が目に止まるのですが私には知識が足りず分かりません。

[2]中心気圧:低い 領域の広さ:広い

図9の等圧線の間隔は2hPaごとであることに注意します。全球モデルでは996hPa、メソモデルでは992hPaですので中心気圧は低く、996hPa以下の領域の広さも、全球モデルはだいたい沖縄本島くらいの直径ですが、メソモデルではそれより広くなっています。

問2は標準的な難易度といったところでしょうか。分布などを答えさせる問題は、問題文で聞かれた内容を、資料をみたままに解答してできるだけ時間を消費しないようにした方が結果的に得点に繋がるような気がします。中心の位置などを比較する問題はトレーシングペーパーを活用して素早く正確に求めましょう。台風が温帯低気圧化する場合も、全てが教科書通りに進むわけではないため、教科書通りでない変化であっても、問題から得られる情報を優先して解答する必要がある点は注意が必要です。

トレーシングペーパーは普段なかなか触れる機会がないから、実際に練習で使った方が上手に活用できるようになるよ。試験で配布されるのは少し厚めの高級品だけど結構高いので、練習用は薄いものでいいと思う!

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問3はこちら↓

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