令和5年度第2回 第61回気象予報士試験 実技2 問1

気象予報士試験の過去問とその模範解答は一般社団法人気象業務支援センターにて過去5年分(10回分)が公開されています(http://www.jmbsc.or.jp/jp/examination/examination-7.html

問題文や図、模範解答などはそちらから入手してください。図や問題文等の引用は気象業務支援センター様にご了承いただき掲載しています。

また、模範解答以外の考察等の内容は全て私見です。気象業務支援センターの見解ではありませんのでご注意ください。

①などはPC上の表記の関係で[1]と記載しています。

問1 (1)

[1]南 [2]強

気圧傾度が大きい→等圧線の間隔が狭い、ですので北東から南西に流れる等圧線の間隔が密な南側になります。当然気圧傾度が大きいほど強い風が吹きます。実際観測点の風速も南側で相対的に強くなっています。

[3]並または強の [4]しゅう雨性降水 [5]もや [6]層積雲

頻出の気象用語や記号の定義は語句を一字一句完璧に覚えます。

[7]40

日本付近には最大40ノットの矢羽がみられます。

[8]とほぼ同じところ

風速の大きなプロットを目安に強風軸をこんな感じで引いて、トレーシングペーパー図1の前線と合わせると大体一致します。

(2)[1]北側[2]離れて[3]北側[4]ほぼ接して

こういった問題は焦らずどちらかの図でマーカーペンなど使用して判別しやすくしましょう。今回は解説のため両方に色を塗っていますが、本番は片方塗って、もう一枚はトレーシングペーパーに描き写して重ねると良いかと思います。

重ねるとこんな感じになります。

よって答えは、日本海の集中帯は湿域の北に離れ、東シナ海の集中帯は北にほぼ接しています。

実際の試験ではこんな丁寧に描かなくても答えられれば大丈夫!

ちなみに、聞かれている湿域は「華中から西日本にのびる」とあるため北陸から東北にかかる湿域(赤で囲った部分)は関係ないので注意しよう。

試験中はとにかく時間がないから、どうせ問題は回収されないし自分が分かれば汚くてもいいよね。

(3)[1]6日9時:等圧線が混んでおり、相対的に南西風が強い。

2日9時:気圧の尾根に位置して気圧傾度は小さく、風が弱い。

6日9時の等圧線は答えやすいですね。「両者の違いに着目して」とあるので2日9時と比較して明らかに等圧線が混み合っています。ただ、風の特徴は答えづらいです、地上予想図を用いてとありますが、西日本にほとんど矢羽がみられません。等圧線の向きからちょうど地衡風とも風の向きが一致しますが地上の風ですし。問題の指示を無視してしまいますが、850hPaの風を参考にすると「相対的に南西風が強い」の部分も理解できるんですが・・・。私の理解力不足でしょうか。

2日9時も、等圧線の間隔が広いのはすぐ分かると思います。ただ「気圧の尾根」は書くのにかなり躊躇しますね。まぁ深く気にしてもしょうがないので部分点狙いでいきましょう笑

ちなみにぼくはこんな感じで解答したよ。

6日9時:等圧線が混んでおり、相対的に風が強くなっている。(24字)

2日9時:気圧傾度はほとんどなく、風は弱くなっている。(22字)

自信のないこと書いて不正解にされるくらいなら正直これくらいで十分じゃないですか?

・・・だめ??

[2]6日9時:西 2日9時:東

6日9時のトラフは全然自信ありません。①だと思うんですけど、②もトラフに見えるような気がして。ただ負の渦度域を通るのが自信ありません。

幸いこの問題は九州北部からの位置を答えるのでいずれでも「西」となるので結果オーライです。

ただ気象予報士試験に合格しただけの

2日9時はわかりやすいですね。

[3]風速の大きい日:6日 主な風向:西南西

風速が大きい日は等高度線が混み合っている6日です。

風向は地衡風が理解できていることが重要です。分からない場合は一般知識を復習しましょう。

実際の試験中に「この問題は一般知識の内容を使います」なんて指示はないから、自分で気づくしかないよ。

地衡風は低気圧側を左にして、等高度線(または等圧線)に並行に吹きます。下の図の向きになりますから、オレンジ色の矢印の通り西南西の風になります。

[4]高い 大きい

大雨は相当温位の高いところで発生しやすいですし、等圧線が混んでいるアの方が風速は大きいです。

(4)[1]15(20)

計算するだけですね。2つの×をトレーシングペーパーで写し取り、2点の距離を測って、緯度10°の距離=600海里で計算します。移動速度を求めるので12時間で割ります。私の場合は2点の距離8mmと北緯30°から北緯40°の距離24mmから、(8mm×600海里)/(24mm×12時間)=16.7ノット≒15ノット

[2]遅い

試験本番では問題文を一読してもすぐには理解できませんでした。ただ、よく読み解くと、「空気塊の移動する速さ」=風速のことかな?と予想できます。風速と比較するだけなら簡単ですね。ちょうど×がついたあたりの矢羽は45ノットを示しているので、解答は「遅い」ですね。多分この考え方で合ってると思うのですが・・・。

[3]東北東にのびる高相当温位域の先端付近で風が収束している。

この問題は正直どう答えたら良いか全くわかりませんでした。強い降水に関する問なので高相当温位域と収束は必須だと思ったですが。

ちなみにぼくは、「高相当温位域の北縁付近に風のシアーラインがあり、収束している。」(31字)と解答したよ。一体何点採点されているかな?模範解答との比較だけでいったら2点くらいはもらえるかなぁ・・・。

(5)[1]模範解答図をご確認ください。

[2]L

補助等圧線の記入問題もしばしば出題され、慣れれば素早く解ける上に配点も高いので確実にこなしましょう。

今回は1006hPaの補助等圧線で、2本記載します。

まず1008hPa(赤)と1004hPa(青)の等圧線を色分けします。[2]の解答につながりますが、▲は線だけでは1004hPaか1008hPaかわかりません。ただ風向が反時計回りで低気圧性の循環のように見えますので周囲より気圧が低い判断しました。したがって▲は「L」になります。赤と青の線の間に1006hPaの補助等圧線が通ることに注意して書くと、1本はすぐに書けます。

この問題は▲を間違えると補助線も間違えて大きな失点に繋がるから怖い問題だ〜。

問題文より2本描く必要があり、閉じていても良いということなので、H(高気圧)を中心に高気圧性の循環(時計回り)で囲う感じになるようにもう一本閉じた補助等圧線を描くと模範解答通りの答えになります。

この問題の問1は例年に比べるとだいぶ難しい印象を受けました。(1)でも、純粋に語句を答えるタイプの問題が非常に少なく、それ以外の問題はどの問題でも少し考える必要がある問題ばかりです。本番では実技1が比較的解きやすかった分かなり焦った記憶があります。

問2はこちら

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