気象予報士試験の参考書選びに迷っている方に向けて
気象予報士試験は受験者数が少なく、参考書もあまり出版されていませんし、小さな本屋では置いていない書籍が多くあります。ここでは私が独学で合格するまでに使用したものを中心にamazonなどで購入可能な気象予報士試験におすすめな参考書など紹介します。
① らくらく突破 気象予報士かんたん合格テキスト 学科一般知識編 著:気象予報士試験受験支援会
らくらく突破 気象予報士かんたん合格テキストのシリーズ(以下、らくらく突破)は他の方のレビューも多く、気象予報士を受験する方にとって定番の参考書です。
名前はらくらく突破だけど、気象予報士試験はらくらく突破できるような試験じゃないんだよなぁ(笑)
このらくらく突破の学科一般知識編は、試験科目の一般知識の範囲を網羅する参考書になります。気象予報士試験の内容は多くの人にとって初学だと思いますし、中には高校・大学で文系に進んだ方にとっては物理学や熱力学など特に難しく感じられるでしょう。
かく言う私も理系ではありますが高校では物理は履修しておらず、基礎的な知識も持ち合わせていませんでしたが、この参考書を熟読しつつ、過去問演習を繰り返すことで合格点を取ることができました。ただし発行は2008年で、その後大きな改訂は入っておらず最新の試験内容には追いついていない点が気になります。
ずっと更新されていないところは気になるね。特に法律とかは改正もあるだろうし。
そうだね!物理とか熱力学はそうそう変化があるような分野じゃないから大体は対応できるんだけどね。
- 試験対策に特化している参考書で、必要十分な知識を学習することができます。
- 一般知識・専門知識・実技試験の3冊が発売されており、同じシリーズを通して全科目を学習できます。
- 初学者でも比較的理解しやすい参考書だと思います。練習問題の解説も丁寧です。
- 書籍の発行年度が古く(2008年)、最新の試験(特に法律関係)には対応ができないことがあります。
- 廃版になったのか、新品の出品がなく、2024年時点で中古価格も高騰しています。
- 練習問題はあまり多くなく、別途過去問などの問題演習が必要です。
- 試験で合格する以上の知識はあまり得られません。
一般知識に関する参考書としては他に一般気象学 著:小倉義光 東京大学出版会があります。気象予報士試験を実施する気象業務支援センターがこの書籍の図などから試験問題に引用することも多く、確実に合格したい方や、試験合格以上のレベルを求める方には必須の参考書になっています。この本を完璧にすれば間違いなく合格できるでしょうが、内容はかなり難しめですので他の参考書と併用するのが良いかと思います。
気象予報士試験のバイブルなんて言われていたりもするぐらいの名著だよ。実際によく本に載ってる図が試験問題に引用されているんだ。
② らくらく突破 気象予報士かんたん合格テキスト 学科専門知識編 改訂新版 著:気象予報士試験受験支援会
らくらく突破シリーズの専門知識編です。一般知識と異なり一度改訂が入っていますが、それでも2014年の改訂以降は大きな改訂はありません。また、一般知識は法律関係以外は基礎的な学問が多くあまり変化はありませんが、専門知識ではレーダーや気象衛星など技術の進歩に伴ってどんどん内容が新しくなっていくため、10年も更新されていないのは少し困ったところではあります。
とはいえ、こちらも一般知識同様比較的分かりやすく最低限の知識を得ることができるため、勉強の基礎知識を得るためには十分役立ちます。
- 試験対策に特化しているイメージで、必要十分な知識を学習することができます。
- 一般知識・専門知識・実技試験の3冊が発売されており、同じシリーズを通して全科目を学習できます。
- 初学者でも比較的理解しやすい構成だと思います。練習問題の解説も丁寧です。
- 書籍の発行年度が古く(2014年)、最新の試験には対応ができないことがあります。
- 練習問題はあまり多くなく、別途過去問などの問題演習が必要です。
- 一部レーダー画像などの図は白黒で、そのカラー図は本の最後に掲載されており少し不便でした。
こっちの方は1回改定されて少し新しいんだ。
でも専門知識の分野はどんどん新しくなっていくからできるだけ新しい参考書を使うのをオススメするよ。レーダーや衛星もどんどん優れた新しいものに変わっていくからね。
③らくらく突破 気象予報士かんたん合格テキスト 実技編 著:気象予報士試験受験支援会
実技試験対策のテキストは数も少なく非常に限られています。独学の場合の参考書としては、このらくらく突破かイラスト図解 よくわかる気象学 【実技編】、そして読んでスッキリ! 気象予報士試験 合格テキスト 第2版および読んでスッキリ! 解いてスッキリ! 気象予報士実技試験合格テキスト&問題集のほぼ3択と言っても過言ではないでしょう。
私の使用したらくらく突破は前半部分に実技試験で必要な基礎知識のテキスト部分と、後半部分に過去問を使用した問題演習とその解答解説があります。特に基礎知識部分は最低限必須な知識が網羅されており、まずはこれを1度通読し、以降は過去問を解きつつ不十分な知識を復習するために使用しました。一方で、問題演習部分は2012年の出版ということもあり過去問が古く、最新の実技試験と比較して問題に違和感を感じることもあったため参考程度に使用するのが良いのかなといった印象でした。
他の2冊がA5サイズなのにこの参考書だけB5で少し大きいんだよね。並べても揃わないし気になる。
- 前半のテキスト部分は非常に洗練されており、初心者でも分かりやすく、実技試験で必要な知識が得られます。
- 一般知識・専門知識・実技試験の3冊が発売されており、同じシリーズを通して全科目を学習できます。
- 暗記が必要な知識は表などで掲載されていて、復習する際にも便利でした。
- 問題演習の過去問は古いですが、解答のコツ・ポイントなどは十分参考にできます。
- 書籍の発行年度が古く(2012年)、実技試験の問題集としてはあまり活用できません。
- 練習問題は7題のみで、範囲は満遍ないですがとても足りません。別途過去問などで問題演習が必須です。
- 問題演習のカラー図などは参考書の最後に掲載されており問題を解くときに不便でした。
実技試験はとにかく問題演習が大切!参考書は分からないところを見返しやすい本にするといいよ。
イラスト図解 よくわかる気象学 シリーズ
このシリーズもらくらく突破と同様、一般知識編、専門知識編、実技試験編と3部に分かれています。特徴としては図解や漫画を多用しており、より読みやすくなっています。特に文系や基礎知識の自信がない初学者などにおすすめできる参考書となっています。また、比較的改訂版を含め出版が新しくなっていますので、最新の内容までできるだけ網羅したものが良い場合はこちらを購入した方が良いでしょう。
しかもオンスク.JPというサブスク型のオンラインスクールでこの筆者の講座をみることができるので自信がない人でも少ない費用で効率的に学習することができます。
気象予報士試験の参考書の中で、これが一番初心者向けだと言われているね!イラストも多くて自信がない人にはこれをオススメするよ。
読んでスッキリ! 気象予報士試験 合格テキスト 第2版
このテキストはなんと1冊で学科の一般知識、専門知識、さらには実技試験の基礎知識まで網羅されています。第2版(最新版)が2023年に出版となっていることもおすすめできるポイントです。また、実技試験対策には読んでスッキリ! 解いてスッキリ! 気象予報士実技試験合格テキスト&問題集という書籍もあるため併せて使用することで実技試験対策も可能になります。
1冊で全科目まとまっているなんてすごい本ね。でも本当に大丈夫かしら・・・。
少なくとも学科試験については不足していることはないと思う!改訂版が2023年に出ているし、最新の試験にも十分対応できるのもいいし、今ぼくが選ぶならこれにするかな。でもぼくが勉強を始めた頃はまだ改訂版が出る前だったんだよ。
気象予報士試験精選問題集
この問題集は気象予報士試験の問題集の定番書籍です。毎年更新されており、この一冊に学科の一般知識、専門知識と実技試験の過去問とその解説も含まれています。また書籍の中に含まれているハガキを郵送することで電子版をPDFで使用することができるため非常に便利です。特に学科試験の2科目は頻出分野を中心に分野ごとに分類されており非常に効率よく学習できます。
一方でやはり実技試験は問題数が少なく、また解説もらくらく突破 実技編と比較してやや分かりにくかった印象です。
ただいずれにしても気象予報士試験の問題集としては非常に優れていると感じました。参考書で勉強した次の最初の問題演習としてはとても良い書籍だと思います。
他の参考書や問題集が5年以上改定されていないことを考えると、毎年新しい試験に対応してくれるのは助かるよね。それに気象予報士の参考書って重たいものが多いからPDF版が思った以上に便利だったよ!
- 分野ごとに構成されており体系的に問題演習ができます。
- 毎年内容が更新されており、最新の問題にも対応できます。
- PDF版が非常に便利です。
- 実技試験はやや解説がわかりにくい印象を受けました。
- しばしば誤植があり、2023年版では解答の誤りがあり困りました。
- PDF版を入手するための手続きがやや面倒です。
U-CANの気象予報士一問一答&要点まとめ
気象予報士試験の書籍が一般的に大きいサイズのものが多い中、比較的持ち歩きやすいサイズに収まっていたため隙間時間の勉強用に購入しました。一問一答は過去問の各選択肢を正誤で解答するタイプで、見開きの左側ページに問題、右側ページに解答と簡単な解説が載っています。解答は付属の赤シートを使用することで見えないようになっています。
一般知識の計算が必要な問題ではやや使いにくいてところもありますが、それ以外では十分活用できました。ただ書籍の最後におまけのようについていた実技試験問題は非常に使いにくいので、なくてもいいかなって感じがしました。
- 本のサイズが小さく移動中などの隙間時間で勉強しやすかったです。
- 反復練習することで一般知識と専門知識のある程度の範囲の知識を定着させることができます。
- 一般知識の熱力学など計算問題の学習には向いていません。
- 最後の実技試験は非常に使いにくいです。
気象予報士試験の性質上どうしても一問一答には向かない問題も多いからこの本は補助的に使うのがいいよ。
今私が改めて受験勉強を始めるとしたら、以下の順でおすすめします。
第1位 読んでスッキリ! 気象予報士試験 合格テキスト 第2版
なんといっても最新であることが大きいです。気象予報業務は日進月歩の技術によってどんどんと変わっています。それに従って気象予報士試験の内容も新しい内容がより重要になってきます。これは気象業務支援センターが過去問を5年分(計10回分)のみしか掲載していないことからも分かります。
従って、できるだけ最新の情報に基づいた学習が非常に重要になってくると実感しました。初学者だった私は一番レビューが多かったらくらく突破シリーズを使用しましたが、結局最新の知識は結局最近の過去問やその過去問解説を使用し勉強する羽目になってしまいました。
また、1冊で全範囲を網羅している点と、価格も比較的安価であることから、これ一冊を使用してから不十分だと思えば一般気象学などより詳細な参考書を購入しても良いと思います。
最近改訂されて最新の試験にそのまま対応できるのが強みだね。それに何冊も買わなくて良いからコスパがいい!今ならとりあえずこれを買って、足りなければ追加する感じでいいんじゃないかな?
1冊で済むと普段の持ち運びにも便利だよね。
第2位 イラスト図解 よくわかる気象学 シリーズ
初学で自信のない方にはこちらをおすすめします。漫画やイラストを使用し堅苦しくなく、また3冊に分かれており、内容も丁寧な解説が評判です。ただ基礎的な知識がある場合はやや回りくどく感じる場合もあるようなので、そのような方は他の参考書がおすすめです。
またこちらのシリーズも比較的最近出版されており、十分現在の試験にも対応可能だと思われます。オンラインスクールを併用することでより効率的に勉強できる点も良いです。
自分は理系初心者だ!っていう人には間違いなくこれをオススメするよ。どうしても難しくなりがちな気象予報士試験をできるだけ分かりやすく説明してくれる。途中漫画もあって飽きさせない工夫もされているね。ただすでに少し気象をかじった人からするとページ数の割に内容は物足りないみたい。
私にはこれが良さそう!
ちなみに、このシリーズの一般知識編と実技編はkindle版もあるよ。でもなぜか専門知識だけまだ未対応なんだ。
第3位 らくらく突破 シリーズ
自分で使用して合格しておいいてこの順位をつけるのは少し変ですが、やはり長いこと改訂されていないのは大きな問題です。おそらく5年くらい前まででしたらこの書籍以外に良い書籍がなかったのでしょう。そのため過去に合格された方も多くが使用したためレビューも多くなっているのではないかと思います。もちろん試験対策に特化していることから効率的に勉強できる点は非常に優れていますので、特に一般知識や実技試験の前半部分などは十分活用できると思います。とはいっても私はこれで合格できましたから、このシリーズでも全然合格できると思います。
やっぱりしばらく改訂されていないっていうのはだいぶ気になるよね。それに一般知識編は廃版になってしまったのか、中古の値段がすごい上がってる!
実技編はすごい助かったんだけどね〜。ちなみになぜかこの本は専門知識編だけkindle版が出てるんだ。
第1位 精選問題集 最新版
定番の問題集ですが、学科の一般知識と専門知識についてはこれを1冊やってしまったら、あとはひたすら過去問演習で十分だと思います。毎年更新されるため、新しく購入する場合は最新版であるかよく確認してから購入してください。
気象予報士試験の本で毎年更新されている本ってほとんどないんだよね〜。
この本はちゃんと毎年12月ごろにその年度の第1回試験(8月実施)まで対応した問題集を出しているんだよ!あ、でもぼくが買った2023年版だけなぜか翌年の5月に遅れて出たんだよね。でもちゃんと2022年の第2回試験(1月実施)まで対応してた(笑)
第2位 気象予報士試験模範解答と解説
過去問の解説を1回分ごとに出版しているため、複数年揃えようとすると1回分ごとに3,000円弱と出費がかさみますが、内容は非常に充実しており、過去問をただ解説するだけでなく、問題を深く掘り下げたり、最近の傾向や時事問題などにも触れており、最新の1、2回分くらいを購入して概要を掴むために使用することをおすすめします。
全部揃えたらすごい金額になりそ〜。
特別賞 ひたすら過去問演習!
気象予報士試験は難易度の高い試験で、過去問がそのまま出題されることはほとんどありません。ですが、類似の問題や、過去問を少し捻った問題が出題されることもあり、過去問対策が合格への一番の近道であることは変わりません。また、一般知識の法律関係は選択肢がそのまま流用されることも多いため試験直前は法律問題(一般知識の問12〜15)をひたすら復習することをおすすめします。
気象業務支援センターでは最新の5年分(計10回)の過去問と模範解答を無料で公開しています。
学科の一般知識、専門知識、そして実技試験も10回分をマスターすればある程度いいところまでレベルをあげることができると思います。解説などは一切ありませんが、たとえばわからない問題は出題年や出題回、問題番号などでインターネット検索をすると有志の方が解説をしていることがあります。
結局過去問演習が一番大切ってことだね!公式に無料で公開しているのはすごく助かるわ。
そうだね、ただ模範解答は解説とかは一切ないから、少なくとも自分で調べたり理解できるくらいには基礎知識をつけないとあまり力にならないかも。
また、これ以上古い過去問は、北上大さんという方が運営されている「めざてん」にメンバー登録すると閲覧することができます。こちらでは最近はあまり更新されていないようですが、一部解説などもされているため非常に参考になりました。
いずれにしても、気象予報士試験は簡単な試験ではありません。特に実技試験は試験時間も足りず、実際に経験してみないとわからない難しさがあります。過去問を解くときは、1回目はちゃんと理解しながら自分のペースで解き、2回目以降は必ず時間を測って解くことをおすすめします。難しい試験ですが、ちゃんとした方法で諦めずに勉強することで必ず合格に近づきますので頑張ってください!
こちらで最近の実技試験の解説や気象予報士試験について書いているのでよかったらみてください!